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(BGMとしてお聴き頂いていますのは、第2曲目「あなたの生まれたのは」のMIDI音声です)

「嫁ぐ娘に」  三善 晃 作曲   高田 敏子 作詩

 

 


1.嫁ぐ日は近づき     嫁ぐ日は近づき むすめの指に あたらしい指輪
 

2.あなたの生まれたのは 遠い北の国の 古い絵のような街で 娘あなたは

                     吹雪の音と いっしょに生まれた


3.戦いの日日        やめて! やめて!

                    世界中の町と村で 母と子は叫びつづけた

                    焦げくさい空に手をさしのべて


4.時間(とき)はきらきらと きらきらと時間(とき)は流れる 時間(とき)は光って流れる

                     たわむれに遊ぶ母と子のまわりを

                     ぶらんこ 光をよぎり  ふんすいは歌いつづけ


5.か ど で                      窓を閉じても 木々の葉はささやきかけ

                     灯を消しても 心には灯がともっている

                     すぎてきた月日の よみがえり ささやき

                     白いドレス あすのよそおいの娘よ                                               
                                                                                                  
                                                                                    さようなら

 

解説:

当合唱団で、三善 晃の合唱曲に取り組むのは、今回が2曲目で計3回目です。

最初は、「五つの童画」の中の「風見鶏」「砂時計」「どんぐりのコマ」の3曲のみ取り上げ、

2000年6月3日に三鷹市芸術文化センター「風のホール」で開催された第11回定期演奏会の

第2ステージで演奏しました。 その後、矢張り全5曲を歌いたいとの声が団内から出て、今年

7月5日に、同じ「風のホール」で開催された創立25周年記念第13回定期演奏会の第2ステージ

を飾りました。 今回の曲も「五つの童画」と同じ高田敏子作詩によるものですが、「五つの童画」

より6年前の1962年に作曲されたものです。 合唱団の先輩氏によれば、「嫁ぐ娘に」は現在の

当合唱団の指導者 佐藤宏先生が着任された当時(8年ほど前になります)、最初にやりたいと

言われた曲だそうですが、当時は直ぐには取り組めなかった由。 「五つの童画」を経験した今、

この曲に挑戦しようという意欲と、多分実力も付いて来たと自負している団員一同です。

この曲の解説は、ビクター・エンタテイメント社版CD「日本合唱曲全集」VCG-60152「嫁ぐ娘に」

で作曲者ご自身が書いて居られる文章を、そのまま以下に転載致します。

『1962年の朝日放送芸術祭参加作品。

 当時の日下部プロデューサーからの委嘱制作でした。 日下部さん、指揮者の田中信昭さん

から高田敏子さんに通じる企路に、私という点を加えていただいた、かと思います。

 高田さんは、この5編の詩にうたわれるような生い立ちのお嬢さんの結婚に「この詩を贈るの

よ」と、私たちに語った。 私は不安でした。 母親と娘の間の言葉を、私が識ろうか。

 詩は、しかし私の中ににじんで来て、酵素のように私自身の体験を溶かすようでした。

 これは、高田さん母娘の真情の絆ではあろう、が、高田さんの言葉がその「個」の情感を経る

前にここに、ひとりの人間の祈りがある。 高田さんは、お嬢さんへの語りかけを通じてそれを

綴ったのだ。 そういえば私が想起し、想像できるものの充満した世界は、たちまち音の予感の

中に展けて来るではないか。

 いいえ、想起するまでもない。 人間への愛を絶望が育むことを私に覚らせた時代は私から、

まだ少しも遠のいていないのだから。 灯を、灯が欲するままにともすことの出来る稀有な幸せを

希いつづけた夜は――あの明けることのない永い夜は、今も私の血の中に閉じている。 詩は、

私の中の そこ に在りました。

 生死についての感動と無感動の間を、私自身が、なんと短い時間に易々と往き来できた

ものであろう!!

 ひとに「倖せに」と、祈りの言葉を言うとき、私の中で、神の意志と人間の罪がなじみ合う。

私は (いえ、これを歌って下さるなら皆さんも) 永遠に呪縛されたものの、しかし何ものからも

侵されることのない言葉を そう 言う。 そう 言って下さい。』


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